熊本県水俣市 協立クリニックは、水俣病の診断・治療・リハビリ、神経内科、精神科、内科を専門としています。
2009年6月7~13日、中国貴州省貴陽市の人民大会堂で第9回国際水銀会議(ICMGP: International Conference on Mercury as a Global Pollutant)が開かれ、藤野糺医師と高岡滋医師が参加しました。
中毒性疾患を解明していくためには、曝露(Exposure)と生体指標(Biomarker)の関係をみていくことが重要なのですが、諸外国の報告の多くは曝露次元にとどまらざるをえないところが多く、水俣における私たちの研究は数少ない生体指標の報告であり、メチル水銀の毒性を考察していく上で貴重な資料であり、臨床研究の交流のみならず、基礎的研究への示唆ともなりうるものです。
今回も、遅発性影響の実態や、メチル水銀が中枢神経にどのように影響しうるのかに関して、データや研究手法に関して諸外国の研究者と意見交換、交流をおこなうことができました。
水俣協立病院と当クリニック関連の発表は以下の通りです。
1. Fujino, T., Takaoka, S., Kawakami, Y.: Symptoms and signs of residents who were born after the stopping the acetaldehyde plant of Chisso Company, May 18, 1968.
チッソ・アセトアルデヒド工場操業停止後に出生した住民の水俣病症候(6月8日、口演+ポスター)
2. Takaoka, S., Kawakami, Y.: Visual search of methylmercury-exposed residents.
メチル水銀曝露住民の視覚探索(6月11日、口演)
3. Takaoka, S.: Fluctuation of the somatosensory acuity in the methylmercury-contaminated residents.
メチル水銀汚染地域住民の体性感覚閾値の変動(6月11日、口演+ポスター)
4. Takaoka, S., Fujino, T., Shigeoka, S., Kawakami, Y.: Relationship between onset and age in Minamata disease.
水俣病症状の発症と年齢の関係(6月11日、ポスター)
5. Takaoka, S.: Application of Kohs block-design test to methylmercury-exposed people.
メチル水銀被曝露者に対するコース立方体検査(6月11日、ポスター)
次回の第10回国際水銀会議は、2011年7月24~29日に、カナダのハリファックスで開催される予定となっています。