熊本県水俣市 協立クリニックは、水俣病の診断・治療・リハビリ、神経内科、精神科、内科を専門としています。
慢性的な水俣病の症状は、手足のしびれなどの身体の感覚障害で自覚されることが多く、その他に歩行時のふらつきや、つまずきやすさなどで気付かれます。手足の感覚障害は、触った感じや痛みの鈍さと自覚されることの他、ジンジンとしたしびれ感を訴える方もおられます。体中心部よりも、手先足先で症状を自覚されることが多いといえます。
50歳以下の比較的若年の方では、感覚障害よりも軽い運動障害を自覚される方もおられます。 その他、手足のこむらがえり(筋肉が痛みを伴ってつる症状)の頻度は非常に高く、手や頭部や体幹部に起こることもあります。
失調が上肢に現れると、箸や茶碗を落とす、ボタンがけがうまくできないなど(手先がうまく使えない)などの症状が出ます。
これらの感覚や運動の症状は、軽症ですと症状の頻度が少ないのですが、重症になる程頻回あるいは常時自覚されるようになります。
より重症になってくると、匂いや味が分かりにくくなったり、周りが見えにくくなったりします。
水俣病の診断には、病歴と診察が必要となります。病歴としては、メチル水銀汚染地域に居住し、魚介類を摂取した既往があることが重要で、診察としては、一般的な神経診察を行い、必要に応じて、二点識別覚などの定量的な感覚障害検査を行います。
水俣病の診断は、メチル水銀に汚染された魚介類を摂取した既往に加え、感覚障害や運動失調などの症状がどの程度存在するかで行います。とくに、四肢末梢優位の感覚障害や全身性の感覚障害は診断上重要な所見です。
最初に述べましたように、水俣病についての情報は極めて限られておりますので、水俣病の診療経験のある医療機関を受診するか、「共通診断書」、「水俣病診断総論」を医師に読んでいただき、診断をしていただく必要があります。当院が所属している全日本民医連加盟の医療機関の中には、水俣病の診療経験のある医療機関が比較的多いと思われます。
治療は、西洋薬、漢方薬、外用薬などの薬剤を使うほか、物理療法やツボ注射などによって、疼痛やしびれなどに対する治療を行います。「医療従事者向け」欄に具体的な薬剤名等を記載していますが、実際の投薬、注射、リハビリテーション等は、主治医の指示の元に行ってください。
公健法により水俣病と認定されたときには、一時金のほか、医療費全額、各種手当が支払われます。しかし、熊本県と鹿児島県においては、水俣病認定審査会で近年認定された例はほとんどありません。
医療手帳や被害者手帳を持っている方は、医療費の自己負担分が補助されますが、通常の健康保険料を払っていないと医療費の補償はありません。介護保険については、医療系サービスである通所リハビリ、訪問リハビリ、訪問看護については自己負担分について公費医療を受けることができます。補償される診療科は、歯科以外です。