当クリニックは現在、内科医療を中心とした「水俣協立病院」の脳神経内科、精神科、リハビリテーション部門の役割を果たしています。

私は、1985年に医療法人芳和会に入職し、1993年より水俣協立病院院長として、主に内科、神経内科の診療に従事して参りましたが、2002年4月より当クリニック院長として、精神科も合わせて診療を行っています。

当クリニックは、「水俣診療所」の時代から、水俣病の診療を長年にわたって行ってきました。水俣病は人々の身体を傷つけ命を奪ってきただけでなく、地域社会も痛手を受け、差別などによって人々のこころも傷つけられてきました。この長い苦難の歴史の経験を経て、私たちは「身体もこころもケアできる」クリニックを目指しています。

水俣病の原因となった大量のメチル水銀は、1932年から1968年までの36年間にわたって八代海（不知火海）に排出され、その後も影響は続き、現在も低濃度汚染の影響は否定できません。健康に影響を受けた方々は甚大な数にのぼり、その中には、濃厚汚染時期（昭和20年～40年代）に八代海沿岸に居住し、国内外の他地域に転居された方々も多数おられます。これまで行政が十分な調査をしてこず、各大学医学部や研究機関が水俣病の臨床研究や疫学研究を怠ってきたため、医師をはじめとした医療従事者にも、本当の水俣病の病態や実態は知らされていません。

一般の方々、医療機関の医師・スタッフの方々に、現在の慢性水俣病の症候を知っていただき、今なお水俣病で苦しんでおられる方々のお役立てることを目指し、2008年7月17日このホームページを開設致しました。

また、当クリニックは、水俣地域の精神科医療の重要な一翼を担っています。出生前・幼少期からの知的障害や発達障害、ストレスによる気分障害や心的外傷後ストレス障害、各種依存症などから統合失調症まで、幅広い範囲の心理的問題や精神疾患を扱っています。

今後、皆様のご意見、ご質問などを参考に、ホームページを充実させて参りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

2023年4月